前歯部・部分矯正

部分矯正とは

部分矯正とは、部分的に歯並びを整える治療法です。全体矯正に比べると、期間や費用の面では行ないやすい反面、症例によっては難しい場合もあります。
矯正治療後の後戻りの改善など少しのずれを治すのであれば、部分矯正は有効な方法と言えます。全体的な矯正治療の本来の目的は、ほとんどすべての歯に矯正装置を装着して上の歯並びと下の歯並びを整え、できる限り緊密に噛み合わせをつくることですが、部分矯正では部分的に装置を装着し、「上の歯並びのみ」「下の前歯のみ」など一部の歯並びのみ整えます。
透明なマウスピース型矯正装置(インビザライン)の場合は、部分的にマウスピースを被せるのではなく、すべての歯に被せます。マウスピース型矯正装置(インビザライン)は1~2週間おきにアライナーとよばれるマウスピース型装置を交換しながら治療を進めていきます。作製する枚数が14枚以下であれば、上のみまたは下のみのアライナーを作製できるため、部分矯正を適用できます。作製する枚数が15枚以上であれば、全体的な矯正治療を適用します。費用はアライナーの枚数によって異なります。

メリット

  • 低価格

  • 期間が短い

  • ワイヤー矯正の場合には部分的に装着するので、全体矯正に比べ違和感が少ない

舌側矯正のデメリット

  • 部分的な歯並びの改善では、噛み合わせを適切な状態に治せないことがある

  • 症例によっては難しい場合がある(抜歯を行なって前歯を引っ込めるなどの治療)

  • 適切な噛み合わせではない場合には、全体矯正に比べ後戻りしやすい環境になることがある

  • 透明なマウスピース型矯正装置(インビザライン)では、アライナーの枚数によっては部分矯正の適用外になる

症例

症例

下の前歯のみの表側ワイヤー部分矯正

  • 【症例】下の前歯のガタガタとねじれ
  • 【治療】下の前歯部6本に透明なブラケット矯正装置を接着し、ホワイトワイヤーを結紮して歯に矯正力を加えて歯牙の整列を行なった。

下の前歯のみの表側ワイヤー部分矯正

  • 【期間】約9ヵ月
  • 【通院】4週間に1回
  • 【保定】ワイヤー矯正終了後は舌側にfixワイヤーを接着固定
  • 【痛み】通院時にワイヤー交換および調整を行なってから3日ほどは、歯に痛みを感じ硬い食べ物が噛みにくくなる。装置の凹凸により頬や口唇の裏側に口内炎や擦り傷などができることがある。
  • 【リスク】食事をすると装置の周囲に歯垢が溜まりやすくなるため、しっかり歯磨きをしないと虫歯や歯肉炎のリスクが高まる。

【矯正治療のメリット・デメリット】

  • 機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
  • 歯根吸収(歯の根の先が短くなること)や歯肉退縮(歯肉が下がること)を引き起こすことがあります。
  • 歯を移動させる力により、痛みや違和感を覚えることがあります。また、装置の刺激で、歯肉の炎症や口内炎を発症することがあります。
  • 装置の装着により、歯磨きしにくい部位が出ることがあります。
    そのため毎日の清掃が不十分だった場合、虫歯、歯肉炎や歯周炎、歯の変色などを引き起こすことがあります。
  • 治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、 一般的に1年半~3年を要します。
    小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~2年、永久歯がすべて生え揃った後に行なう第2期治療で1~2年半を要することがあります。
  • 歯の移動終了後、リテーナー(保定装置)の使用期間の不足や歯ぎしりなど癖の影響で、後戻りや新たな不正咬合を引き起こすことがあります。

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  • 掲載されている症例写真はすべて、当院で治療を完了し、サイト掲載の許可をいただいた患者さまのものです。
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  • 治療はすべて各患者さま固有の症例に対応したものであり、他の方への治療結果を保証するものではありません。